昨今、エンジニア不足が社会的な課題となっています。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足すると言われており、エンジニアの確保がますます難しくなっていくことが予想されます。
こうした中でエンジニアの採用に力を入れるのであれば、優秀なエンジニアを見極め、無駄なく確実にアプローチすることが非常に重要です。そのためにはまず、優秀なエンジニアの特徴を知る必要があります。
出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
優秀なエンジニアは総じて、以下のような特徴を持っています。
・対面コミュニケーション能力エンジニアである以上、プログラミング言語等のスキルがあることは前提ですが、加えてコミュニケーション能力も必須です。コミュニケーション能力が低いと、クライアントの要望を深く聞き出すことができず、理想とは異なる方向性でプロジェクトを進めてしまう可能性があります。
・オンラインコミュニケーション能力
コロナ禍を経て、前述の対面コミュニケーション能力に加えて、オンラインでのコミュニケーション能力も重視されるようになってきました。対面よりも受け取れる情報量が少なくなるため、認識の相違が生まれないよう丁寧なコミュニケーションが求められます。
・自発的に行動できる能力
クライアントのニーズをくみ取り、積極的に提案するような自発的姿勢は、エンジニアにとって重要な能力です。自発的な行動力がなければ、新たな業務へチャレンジする機会も失いやすくなります。
・エンジニアとしてのキャリアプラン
将来どのようなエンジニアになりたいかというキャリアプランを持っているかによって、仕事へのモチベーションや成長力も変わってきます。
・学び続けようという姿勢
IT業界は日進月歩の世界であり、常に新たな技術や知識を吸収する必要があります。最新のITトレンドを把握する必要もあり、現状に満足せず貪欲に学び続ける姿勢は大切です。
・変化に対応できる心構え
先述の通り、IT業界は技術や知識の更新が速い世界であるため、変化に対応しようとする姿勢も不可欠です。また、プロジェクトの進捗状況やクライアントのニーズの変化に対応するという意味での柔軟性も求められます。
・数字に苦手意識がないか
データ分析をはじめ、エンジニアは数字を扱う業務が多々あるため、数字に苦手意識がないことも求められる資質です。
・論理的思考ができるか
設計を行ううえで論理的思考力は必須です。トラブルが発生した際も、原因や解決策を探るにあたりロジカルな思考ができないと解決まで時間がかかってしまいます。
・専門的スキルを持っている
要求分析・設計・コーディング・テスト・ドキュメンテーション・トラブルへの対処法などの基本スキルに加え、専門スキルがあることも優秀なエンジニアの特徴です。具体例としてはビッグデータに関する問題解決スキルやデータ処理スキルなどが挙げられます。
このように、エンジニアの優秀さを測る要素は多様であるため、採用の可否の判断を下すのが難しいことも多く、意思決定のための入念な準備が求められます。
そのためのヒントについては以下記事をご覧ください。
優秀なエンジニアを採用したくても、見極めに課題を感じる企業も少なくありません。見極める際にわかりにくい点として、以下3つが挙げられます。
エンジニアを採用する際には、ハードスキルとソフトスキル、そして志向性(価値観)の3軸を見る必要があります。
ハードスキルとは実務スキルのことであり、プログラミングスキルやデータベース管理、UI設計、機械学習など、エンジニアとしての専門的能力を指します。一方、ソフトスキルは対人能力や発想力・創造性、課題解決力など、エンジニアに限らず社会人に必要な素養や行動特性のことです。
また、どのような業務内容やキャリアを志向しているかという志向性(価値観)もエンジニアによってまちまちであり、これら3軸をそれぞれどの程度満たしているか判断に迷うケースがよくあります。
一口にエンジニアと言っても、システムエンジニアやフロントエンドエンジニア、インフラエンジニアなど多様な職種があり、その業務は多岐にわたります。IT分野の専門家でない社員が採用担当だと、多様なエンジニアのポジションや業務内容についてわからないことが多く、スキルを見極められない課題があります。
先述の志向性の評価軸と関連するものですが、企業の価値観とエンジニアの価値観が一致しないこともよくある課題です。特に、書類選考の時点では価値観や志向について深堀できず、企業の価値観とどの程度マッチするか見極めが難しいケースが見られます。
前章でご紹介した課題に対処し、優秀なエンジニアを見極めるにはどうすれば良いのでしょうか。 IT企業に専門特化した「エンジニア採用のプロ」である弊社ア・ロッカが、エンジニアのスキルと価値観を見極めるために知っておくべきコツと、面接時における実際の質問例をご紹介します。
まず、書類選考時点では以下のポイントを確認します。
直近で業務のブランクがないか判断するためのポイントです。エンジニア業界は技術やトレンドの変化が速いため、数年前の経験やスキルは時代遅れとなっている可能性があります。
複数の言語を習得していることは、幅広い経験を積んでいることや学習意欲が高いことの判断材料となります。
先述のようにエンジニアの種類は多様であるため、採用後のミスマッチを防ぐため何のエンジニアなのか確認することも必須です。
面接にて優秀な人材であるかを見極める際には、以下のような質問を投げかけると効果的です。
・「これまで判断に迷ったときはどう対処していましたか?」・「チームのメンバーに助けてもらった経験はありますか?」
業務が行き詰まったときや自分の判断に自信がない場合に、周囲の仲間に相談したり現状を報告したりするなど、適切なコミュニケーションがとれるか見極める質問です。また、1人で抱え込まず、謙虚な姿勢で周りを頼ることができるかといった人柄に関する判断材料にもなります。
・「これまで経験した言語・ツール・サーバー構成などを教えてください」
書類に記載された経験が本当か確かめるのと同時に、言語やツールなどの経験を聞くことで自社の業務内容とマッチするか確認できます。また、経験したポジションを聞くことで任せられる業務範囲やレイヤーを知ることができます。
・「最近どんなことを勉強していますか?」
自己学習意欲があるか見極めるための質問です。常に新たな技術が登場するIT分野にいる以上、自発的な学習意欲は不可欠の要素です。学習意欲の高い人材であれば、新たな技術に出会ってもすぐにキャッチアップできる可能性が高く、成長性を感じられます。
また、選考時はエンジニアの優秀さだけでなく、自社とマッチしている人材かを見分けることも非常に重要です。
以下の記事では、エンジニア採用におけるミスマッチを防ぐ方法について解説しています。ぜひ、こちらも合わせてご覧ください。
ご紹介したようなポイントを押さえることで優秀なエンジニアを見極めやすくなりますが、採用活動においては媒体や候補者の選定、スカウトメールの送信、書類判定、面接日程の調整など、面接を実施するまでに多くの工程があります。
そのため、現状のリソースでは満足な対応ができず、優秀だと思って採用したにもかかわらず、ミスマッチが生じてしまうことも少なくありません。
また、ベンチャー企業や中小企業では、スキルを判断するために社内のエンジニアの力を借りようとしても、人員の余裕がなく、見極めの精度を高めることが難しい課題もあります。
こうしたことから、採用活動を成功させるためには、採用コンサルティングの活用を選択肢に入れるべきです。プロのコンサルティングを受けることで、採用戦略から見直すことができるため、本質的な改善が可能です。
また、コンサルティングだけでなく採用実務のアウトソーシングをあわせて依頼することで、スキル判断などが難しい書類判断はプロに任せ、面接の実施や採用の可否に関する意思決定などに集中できるようになり、ミスマッチを最小化できます。
エンジニアの採用コンサルティングやアウトソーシングで解決できる課題については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
▶ エンジニア採用成功の鍵は、コンサルティング×アウトソーシング!