人材要件の作り方とは?基本項目や作成フロー、ポイントまで解説
2024年
本記事では、人材要件で設定すべき項目や作成の手順、作成時のポイントなどを解説します。
人材要件とは?
人材要件とは、自社が採用したい人物像を定義したものです。スキルや経験、価値観、人柄・性格などを含み、企業の理念や経営戦略、事業戦略を踏まえて決定します。
人材要件と混同されやすい概念に「採用ペルソナ」があります。
採用ペルソナとは採用したい人材のターゲット像をより詳細に定義したものです。上記の項目に加え、家族構成や年齢、趣味・嗜好、現在のキャリアに関する悩みなど、実在する人物であるかのように具体的な人材のイメージやプロフィールを設定する点で人材要件と異なります。
採用活動において人材要件の定義が重要な理由
採用活動では人材要件の設定が極めて重要であり、要件を明確にすることによって以下のメリットを得ることができます。
ミスマッチの防止
人材要件を具体化することで、その要件や特徴にマッチする応募者を呼び込めるようになり、求める人物像と応募者のミスマッチ防止につながります。これにより、「時間やコストをかけたものの、必要な人材を採用できなかった」「業務や組織風土と合わず早期離職してしまった」といったリスクを回避することが可能です。
昨今は労働人口の減少によって人材獲得競争が激化し、多くの企業が人材の獲得に苦戦しており、応募者を採用した後の離職率を抑えることの重要性が高まっています。
特に、多くの応募者を集めにくい中小・スタートアップ・ベンチャー企業や、人材不足に陥っているITエンジニアなどの職種を募集する場合、人材要件をしっかり定義することで、ミスマッチを防ぎながら求める人材の採用につなげられることは非常に大きなメリットです。
エンジニア採用でミスマッチが発生する原因やその対策については以下の記事で詳しく解説しています。
また、中小企業やベンチャー・スタートアップ企業がとるべき採用戦略についてはこちらの記事をご覧ください。
採用活動を円滑に進められる
人材要件を明確に定義することで、どのような人材に絞ってリクルーティングを行うべきかという採用活動の方向性(採用計画)が明確に決まり、その後の募集・選考プロセスをスムーズに進められるようになります。
反対に、人材要件を定義できていないと採用計画が決まらず、応募者の募集や選考の段階にスムーズに進めません。また、人材要件が抽象的なままで採用活動を進めると、採用フローの途中で本当に自社が求める人材かどうか不明瞭になり、合否判断の再協議が必要になるなど、トラブル発生につながりやすくなります。
応募者への正当な評価につながる
採用したい人物像の認識を担当者間で共有でき、適切かつ公平な合否判断ができるようになることもメリットです。各担当者の評価のブレを最小化することができます。
また、「優秀な人材かどうか正確に判断できず、採用の機会を逃してしまった」といった状況も回避できます。
人材要件の基本項目
人材要件として設定される項目としては以下のものがあります。
<人材要件の基本項目>
労働条件 | 勤務地や勤務時間、待遇面など |
職務経験 |
どのような業務や役職を何年経験してきたか (「システムエンジニアとして5年以上の経験」) (「プロジェクトマネジメントの経験3年以上」)など |
業務スキル・知識 | 自社が求める水準のスキルや知識、あるいは資格などを持っているか |
性格・能力 |
勤勉さやコミュニケーション能力、逆境を乗り越えるレジリエンス (精神的なタフさや柔軟性)、没頭力などがあるか |
仕事に対する志向性 | 仕事やキャリアに関する価値観(安定志向と成長志向の程度、およびバランスなど)が自社にマッチしているか |
以降では、これらを決定するためのステップを4つに分けて説明します。
人材要件の作り方4ステップ
①経営戦略・事業戦略の確認
まずは自社の経営理念や経営戦略、事業戦略を確認し、将来的にどのような方向で成長していく方針なのか、どのような会社を目指しているのかなどを正確に理解します。採用計画は自社の中長期的な経営戦略と連動して立案しないと、将来的な人材不足や人材余りにつながりかねません。そのため、事業成長の見通しや新規事業の立ち上げといった将来的な要素も加味する必要があります。
②担当業務の整理
次に、募集対象のポジションが担当する業務の洗い出し・整理を行います。該当するポジションの所属する部署にヒアリングし、現在どのような業務を行っているのか、またどの業務の重要性が高いかなどを把握します。業務内容が明確でないと必要な経験やスキル、知識なども明確化できないため、担当業務の整理は重要なプロセスです。
③求める要件の洗い出し
担当業務を洗い出したら、その業務を遂行するのに必要なスキルや知識、経験などの要件を洗い出します。また、自社のカルチャーや組織の雰囲気などに合った性格・価値観を持っていると定着しやすいため、パーソナリティ面での要件も固めていきます。
加えて、勤務時間や待遇などの条件面も洗い出しておきましょう。給与など待遇面の要件は、若手の社員を求めているのか、ある程度経験を積んだ社員を求めているのかなどによっても変わってきます。
④求める要件の優先順位付け
その次に、これまでで洗い出した人材要件の順位付けを行います。自社が求める要件すべてを満たす人材はなかなかいません。そこで、求める要件に優先順位を付け、優先度の高い要件に該当する人材から探すことで、効率的な採用活動を行うことができます。
優先順位付けの際には、要件を「MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE」の4つに分ける方法がおすすめです。MUSTは最も優先順位の高い必須要件であり、WANTは歓迎、BETTERはあればなお良し、NEGATIVEは不要または評価しない要件です。
MUSTを満たしていることは前提としたうえで、WANTやBETTERのうちいくつかの要件を満たす人材であればマッチ度は高いといえます。
人材要件作成時のポイントと注意点
人材要件作成時には、以下のポイントを押さえる必要があります。
現場へのヒアリングを行う
実際に配属される部署へのヒアリングを行うことで、配属後の業務や、既存の社員・組織文化等とのミスマッチを防ぐことができます。特に、募集しているポジションで実際に活躍している人がいればヒアリングし、高いパフォーマンスをあげている要因を明らかにすると、活躍できそうな人材の要件を具体化しやすくなります。
募集対象者に応じて要件を設定する
募集対象が未経験者なのか、あるいは即戦力として期待できる経験者なのかによって設定すべき要件は変わってきます。
未経験者が対象の場合、入社後にカバーできる知識や資格などは求めすぎず、性格や志向性などを踏まえて「将来的に成長できそうか」というポテンシャルを重視すると、適任者の発見につながりやすくなります。
他方、即戦力を採用する場合は、知識やスキルといったハード面と性格や志向性などのソフト面のバランスをとることが必要です。
応募者のメリットも考える
応募者に求める条件を列挙するだけでは、なかなか優秀な人材の採用にはつながりません。応募者の目線に立って自社で働くメリットや価値を示すことで、自社の魅力をアピールでき応募者の確実な獲得につながります。
業務工数を確保する
採用担当者が別のコア業務と採用業務を兼任していると、人材要件の作成に工数を割けない可能性があります。人材要件の作成に十分なリソースを割けないと、必須の要件に抜けがあったり、現場の求める人材像と策定した人材要件にずれが生じたりしてしまい、ミスマッチの原因となる恐れがあります。
特に、採用にかけられるリソースが不足しやすい中小・ベンチャー・スタートアップ企業は注意が必要です。
こうした課題の解決策としては、採用代行(RPO)サービスがあり、採用のプロに採用業務を代行してもらうことができます。採用代行(RPO)を活用することで、採用担当者の工数を削減することができ、担当者は注力すべき業務に集中できるようになります。
作成後は効果検証を行う
人材要件を作成し、それに基づいて採用活動を行った後には効果検証を行います。実際に求める人材が何人応募してきたか、そのうち何人を採用できたかといった結果を踏まえ、課題があれば適宜改善していくなど、PDCAを回し続けて最適な人材要件を作り上げていくことが大切です。
採用活動のお悩みは、採用のプロにご相談を
自社が求める人材を採用するためには、人材要件の作成が不可欠です。適切な人材要件を作成するには、経営/事業戦略への理解や業務の洗い出し、現場へのヒアリング、さらに応募者側へのメリットの提示などさまざまな工夫が必要となります。
「アイティ人事」では、近年特に採用が難しくなっているITエンジニアの採用支援を行っています。人材要件の作成をはじめ、貴社の状況に合わせて、採用コンサルティング支援や採用業務の代行(RPO)が可能です。ご担当者様の業務負担削減や、採用活動の最適化を徹底的にサポートします。
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