採用代行(RPO)は違法?利用申請が必要となる基準や正しい申請手順を解説

2024年

 
近年、採用における売り手市場化が進んでいることから採用手法が多様化し、それにともなう工数の増加・複雑化に対処するため採用代行(RPO)が注目されています。しかし、「採用代行(RPO)は違法ではないのか?」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、採用代行(RPO)を適切に活用するために知っておきたい許可基準や、利用申請の手順、代行事業者に依頼する際のポイントなどを解説します。
 

採用代行(RPO)のサービス内容

採用代行(RPOとは、採用選考活動にかかわる業務を第三者の事業者に外部委託することです。採用戦略の方針策定や求人媒体・採用要件の決定、スカウトメールの送信、面接日時の調整、選考、採用、内定者へのフォローなど幅広い業務領域を担当します。不特定多数の企業と求職者をマッチングする「人材紹介」に比べ、より企業に近い目線で採用に関与する点が特徴です。

 

採用代行(RPO)を活用することで自社の採用担当者の業務負担が軽減され、注力すべき業務にリソースを割けるようになります。特に、ベンチャー・スタートアップ企業、中小企業など採用担当者の人員が少ない、または専任の担当者がおらず採用担当者が他業務を兼任している企業にとっては大きな負担軽減となり、業務効率化につながります。採用代行(RPO)は、近年人材獲得競争が激しさを増すITエンジニア採用市場で特に活用が進んでいます。

採用代行(RPO)に違法性はあるのか? 

採用担当者の中には、「採用代行(RPO)は違法である」という情報を見聞きしたことのある方もいるかもしれません。そこで、ここからは実際に採用代行(RPO)に違法性があるかを見ていきます。

許可が取れていれば違法ではない

結論から言えば、基本的に採用代行(RPO)のサービス自体は違法ではありません。選考や合否の決定を自社で行い、採用試験の作成をはじめとする事務的な作業や、求職者のスカウトを採用代行(RPO)事業者に委託する場合は違法ではなく、また厚生労働省や都道府県労働局長への届け出も不要です。

 

ただし、次節でご紹介する許可が必要なケースで届け出をしていなかったり、利用開始時の手続きに不備があったりする場合などは違法となる場合もあるため注意が必要です。

採用代行(RPO)の利用が違法になるケース

採用代行(RPO)が違法になるケースとしては以下の場合が挙げられます。

 

① 採用代行(RPO)サービスの内容が「委託募集」に該当しているにもかかわらず、事業者(受託企業)と委託企業が許可申請をしていなかった場合
② 許可申請に虚偽の内容があった場合
③ 申請が許可される前に募集を開始した場合
④ 求職者の個人情報を適切に管理しなかった場合
⑤ 業務内容が労働関係法を違反している場合

 

上記のいずれかに該当し、職業安定法違反と見なされた場合は、罰せられる可能性があります。根拠の条文は以下の通りです。

「許可を受けずに法第36条第1項の委託募集を行った者は、1年以下の懲役又は100万円 以下の罰に処せられる(法第64条第6号)」

 

※出典:厚生労働省「労働者募集業務取扱要領」

法的許可が必要な「委託募集」とは?

採用代行(RPO)事業者への委託内容が「委託募集」に該当する場合は、企業と採用代行(RPO)事業者がともに厚生労働省か都道府県労働局長から許可を得る必要があります。


委託募集とは、労働者の募集や選考自体を自社の従業員ではない第三者に委託することです。
委託募集を行う際でも、職業安定法で規定されている基準を満たし、届出をしていれば違法にはなりません。

採用代行(RPO)の「委託募集」の許可基準

委託募集の許可基準については「職業安定法第36条」に記載されています。細かい条件はあるものの、コンプライアンスに配慮した経営を行っていれば条件は満たせます。
厚生労働省の資料によると、委託側・受託側それぞれの委託募集の許可基準は以下の通りです。

採用代行(RPO)における委託側(企業)の許可基準

委託側の企業は、事業主の徳性について、労働関係法令に係る重要な違反をしていないことが基準となっています。また、募集に係る労働条件として以下の条件を満たす必要があります。

 

・労働条件が適正であり、かつ明示されている
・同地域、同業種の賃金水準と比べて著しく低い金額ではない
・労働・社会保険に適切に加入している
・募集期間が1年未満であり、受託業者に支払う報酬は、支払われた賃金額の100分の50未満までである(委託募集に必要となる経費が特に高額になる特段の事情がある場合を除く)

出典:厚生労働省「委託募集の許可基準」

採用代行(RPO)における受託側(代行事業者)の許可基準

受託側(代行事業者)も、事業主の徳性として、労働関係法令に係る重大な違反をしていないことが基準となっており、その他以下の条件を満たす必要があります。

・青年被後見人または被保佐人でない。
・労働関係法令および募集内容・職種に関して十分な知識を有している

 

委託側・受託側ともに委託労働環境や雇用条件に問題がないかという点が主な基準です。また受託側としては、採用に必要な判断能力を有しているかが重要になります

採用代行(RPO)における委託募集時の申請手順

採用代行(RPO)における委託募集では、以下の手順を踏んで申請します。

 

① 必要な申請書類を用意する

まずは申請に必ず必要な厚生労働省発行の「委託募集許可等申請書(様式第3号)」を用意します。必要事項を記入し、提出準備を進めましょう。


また、申請書を提出する際は、申請書の内容を証明できる帳簿などの関係書類も必要になります。そため、関係書類の準備もあわせて行いましょう。

 

② 期限までに書類を提出する

書類の準備が完了したら、定められた期限までに提出を行います。
提出先は募集人数によって異なり、もしも1つの都道府県で30人以上の募集をかける場合、もしくは全体での募集人数が100名以上になる場合は、厚生労働大臣の許可が必要です。その他の場合は管轄の都道府県労働局長の許可が必要です。

 

都道府県労働局長の許可を得る場合は、募集開始月の14日前までに、厚生労働大臣の許可を得る場合は開始月の21日前までに上記の書類を提出します。

 

③ 審査結果を待つ

申請後には審査結果を待ちます。審査結果は、許可・不許可・条件付き許可のうちいずれかが通知されます。
なお、委託許可申請については、受託側が代わりに行うことが可能です。申請の工数を削減したい場合は、許可申請を代行してくれる採用代行(RPO)事業者へ任せると良いでしょう。

採用代行(RPO)事業者に依頼する際のポイント

採用代行(RPO)事業者に依頼する際には、以下の4点を押さえておくことが重要です。

依頼業務を明確にする

採用活動は繁雑な業務が多く、場合によっては許可申請が必要です。そのため、依頼したい業務を明確にしておかないと、どの業務を業者に任せるべきか分からなくなり、採用代行(RPO)を有効活用できない可能性があります。

サービスの提供許可を取得しているかを確認する

サービス内容に「委託募集」を含む場合、許可基準を満たしているか、正当に事業を実施しているかを確認する必要があります。

過去に同業界の採用実績があるかを確認する

過去の採用実績も依頼するうえで重要な判断材料になります。どの業界・職種に精通しているかを確認しておくことが大切です。

委託したい業務内容に対応可能かを確認する

事務作業などの部分的な委託業務を行う事業者もあれば、採用戦略の策定から施策の実行まで全体のサポートが可能な事業者もあります。採用代行(RPO)事業者のサポート範囲を確認し、自社の予算を踏まえて対応してもらいたい業務を洗い出し、最適な事業者を選定することが重要です。

まとめ

採用代行は基準を満たし、しかるべき許可を取っていれば違法ではありません。

 

本記事の内容を把握したうえで、自社に合った採用代行サービスを上手に活用して、効率的な採用活動を実現しましょう。

 

ITエンジニア採用コンサルティング支援サービスの「アイティ人事」は、IT企業に専門特化した「採用プロ集団」が、採用戦略の立案から採用実務の代行まで、お客様の課題・ニーズに合わせて必要な部分だけ構築・改善が可能なサービスです。

 

採用代行業者としての基準を満たしているのはもちろんのこと、採用プロセスの全部または一部を委託いただくことにより、採用にかかる時間を大幅に削減し、採用担当者がコア業務に専念しやすい環境づくりと採用効率の向上を支援します。

 

また、現在の課題や採用戦略・計画、ターゲットとなる人材像の洗い出しなどに関する最適な提案ができ、期間や予算も踏まえたご相談や、一部の業務のみ請け負うことも可能です。

 

ITエンジニア向けの採用代行サービスをお探しの方は、ぜひ以下をご覧ください。

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