【2023年最新】エンジニア転職市場の概況|人手不足は本当?IT人材の今後の展望とは

2023年5月22日
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IoTや人工知能など先端的なIT技術の進展や労働人口の減少を背景に、エンジニア人材の需給ギャップが課題となっています。こうした中でエンジニアの採用競争も激しさを増しており、小規模事業者を中心に対応を迫られています。本記事では、エンジニア転職市場の概況やエンジニアが不足する理由、IT人材の需給に関する展望などを解説します。
エンジニア採用がうまくいかない…とお悩みのご担当者様へ

IT人材不足は本当?

昨今、社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まっており、あらゆる業界において企業活動やビジネスモデルのデジタルシフトが進んでいます。

こうした時代背景のなか、多くの業界でIT人材が不足しているという声が聞かれますが、実際にIT人材の不足は進んでいるのでしょうか。また、今後の採用市場はどのような展望になるのでしょうか。以下ではまずIT人材の定義を確認したうえで、IT人材の需給状況について、経済産業省のレポートをもとに見ていきます。

IT人材とは

「IT人材」とは、どのような人材を指すのでしょうか。
経済産業省の調査報告書「IT 人材需給に関する調査」によると、IT人材とは「主に情報サービス業及びインターネット付随サービス業(IT サービスやソフトウェア等を提供する IT 企業)及び、ユーザー企業(IT を活用する一般企業)の情報システム部門等に属する」人材と定義されています。

職種としては、「システムコンサルタント・設計者」、「ソフトウェア作成者」、「その他の情報処理・通信技術者」などが該当します。

出典:経済産業省「―IT 人材需給に関する調査―調査報告書」(みずほ情報総研株式会社に委託)

経済産業省のレポートでも指摘されているIT人材不足

経済産業省のレポート「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、人口減少および少子高齢化に伴う労働人口減少により、IT産業への人材供給は年々減少していくことが予想されています。

一方で、ビッグデータやIoT、人工知能など新たな先端技術やサービスが次々に登場しており、今後も先端技術の市場は拡大が予想されることから、ITに対する需要は引き続き増大していくものとみられます。

このように、IT人材の供給減少と、産業や業界を超えたIT需要の高まりが同時進行するために需給ギャップが拡大し、IT人材不足は今後ますます深刻化すると予想されています。
同レポートでは、IT需要の伸びが「高位」のシナリオの場合、2030年にはIT人材の不足規模が約79万人に達するという予測が発表されました。

特に、大企業よりも相対的に知名度や待遇面で不利になりやすい小規模事業者は、IT人材不足の傾向が顕著になると考えられます。

出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(みずほ情報総研株式会社に委託)

IT人材が不足する状況下でエンジニア採用を進めるためのポイントについては、以下記事で解説しています。こちらもぜひご覧ください。

【2023年】最新のエンジニア転職市場

続いて、エンジニアの転職に関する最新の動向についてみていきます。

2023年1月に株式会社リクルートが発表した「2022年 10-12月期 転職時の賃金変動状況」によると、IT系エンジニア職において「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は39.7%となり、過去最高値を更新しました。IT業界の転職市場は引き続き活性化しており、エンジニア不足は顕著となっています。

こうした状況を背景に、未経験でも転職可能な求人が増えており、異業種からの転職希望者も増えている状況です。

出典:株式会社リクルート「2022年 10-12月期 転職時の賃金変動状況」

エンジニアの採用において優秀な人材を見極めるポイントについては、以下記事で解説しています。

エンジニアが人手不足になる理由

以上でみてきたように、エンジニア不足の傾向は顕著になってきていますが、なぜここまで人材不足が進んでいるのでしょうか。以下3つの理由が考えられます。

エンジニアの専門性が高いから

近年、人工知能やIoT、ビッグデータなどの技術が急速に発展しているほか、社会のデジタル化に伴い情報セキュリティに関する需要も拡大しています。こうした先端技術の進展やニーズの高まりを背景に、エンジニアに求められる専門性が高まっています。

経済産業省のレポートでも、先端技術に関するIT人材は今後特に不足することが予想されており、人手不足に拍車がかかっている状況です。いわば、先端技術の発展によりIT人材は量だけではなく質が問われているといえます。

即戦力になるまで時間がかかるから

エンジニアは高い専門性が求められる職種であり、即戦力として活躍できるようになるまでにはある程度の実務経験が必要です。 専門のスクールに通う、もしくは独学で学ぶなど学習を積み重ねることで基礎的な知識・スキルは習得できますが、実際の現場で試行錯誤する経験がなければ即戦力としての能力はなかなか身に付きません。

こうしたことから、人材不足の状況でもすぐにはエンジニアの供給を増やせず、需給ギャップを解消できない事態となっています。

また、採用競争が激化する中でエンジニアを採用できたとしても、ミスマッチによって早期離職が起こるケースも少なくありません。採用におけるミスマッチを防止するポイントにご関心のある方は、以下の記事をご覧ください。

技術が変化するスピードが速いから

技術変化のスピードが加速していることも理由として挙げられます。 IT分野は競争が激しく、既存の技術が新たな技術へと次々にリプレイスされます。 たとえば、数年前までエンジニアとして活躍していた人材でも、何らかの事情でブランクが生じた場合にはキャッチアップに多大な努力を要します。

利用者側のニーズや技術トレンドの移り変わりも速く、そうした変化にすぐに対応するのは簡単ではないことも人材不足の背景として挙げられます。

エンジニア採用の今後の展望

ここまでみてきたように、労働人口の減少や先端的なIT技術の進展などを背景に、エンジニアに対する需要は今後さらに拡大していくことは間違いありません。
「2030年に79万人のIT人材が不足」という数字はあくまでもIT需要の伸びが高位(3~9%の伸び率)だった場合のシナリオですが、低位(1%の伸び率)のシナリオでも約41万人の不足が予想されています。

特に、労働生産性が大きく上昇しない限り、AI・IoT・ビッグデータといった先端領域に対応するエンジニアは今後不足の度合いが深刻化すると予測されます。 これら先端技術は今後の産業構造を大きく変える可能性を秘めた領域であり、企業の競争力の源泉にもなるため、先端技術に対応できるエンジニアの確保は喫緊の課題です。

まとめ

以上のような先端IT技術を中心とするエンジニア不足を背景に、エンジニア採用の難易度は今後も高まることが予想されます。

特に、福利厚生や待遇、知名度の面で大手企業と比較して劣位な立場になりやすい小規模事業者にとって、エンジニアの確保は大きな課題です。 小規模事業者は、自社でエンジニアを育成するためのコストやリソースに乏しいため経験者を求めるケースが多いですが、経験豊富で優秀なエンジニアの採用はより困難を極めます。

そこで、少ないコストや工数で効率的にエンジニアを採用するため、コンサルティングやアウトソーシングを活用した採用の仕組みづくりが重要となります

以下の資料では、小規模事業者に役立つエンジニア採用のノウハウを公開していますので、エンジニア採用に課題を感じられている方はぜひご覧ください。

お役立ち資料

中小企業が今!取り組むべきエンジニア採用方法
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